所有権と利用権の分権
本再開発事業では、土地の所有を変えずにビルの床をまちづくり会社が取得・運営する事業スキームとし、土地費をイニシャルコストとして事業費に顕在化させない仕組みにしています。地権者はそれぞれの土地を所有し続け、まちづくり会社と定期借地権契約を結び、土地を貸し出します。そして、建物はまちづくり会社が所有し運営します。まちづくり会社は、家賃収入から、建物の管理コストなど必要な経費を除いた分を、地権者に分配します。簡単に言えば、地権者はこの事業に土地を投資し、地代という形で配当を得ることになります。こうすることで、土地の所有と利用が分離され、土地はまちづくりに望ましい形で合理的に利用されていくことになります。また、まちづくり会社が建物全体を一体的に運営することができるので、マネージメントが合理的かつ体系的にできるメリットもあります。 このような形態においては、地権者の合意を得ることが最大の課題であり、「所有権と利用権の分離」をまちづくりに活用するのは、全国で初めての試みです。
オーナー変動地代家賃制
地権者(オーナー)が土地を「投資する」ということは、「リスク」と「リターン」を伴うということです。つまり、地権者はテナントの売上から家賃収入(リターン)が期待できますが、その額は一定ではなく、テナントの売上によって増減するリスクを含んでいます。これを「オーナー変動地代家賃制」といいます。このようなしくみの下、地権者は、テナントと協力をして売上増に努めなくてはなりません。また、建物を管理・運営するまちづくり会社も、その能力の向上を目指さなくてなりません。地権者とテナント、まちづくり会社が同じリスクを背負い、「お客様満足の向上」という同じ目標を目指して協同で真剣に商売に取り組んでいくことが、町全体の魅力を高めていくことになるのです。